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間食って、どんなイメージ??
やまおか内科クリニック管理栄養士の和田と申します。
みなさんは、「間食」と聞いてどんなイメージを持ちますか?
「太る」「ダイエットの敵」「我慢」など、間食はダイエットには良くないもの、というイメージの方が多いかもしれません。
ですが、間食は量とタイミング、食べるものを上手に選んでお付き合いしていけば、みなさんを今より健康にしてくれます。正しく食べれば、ダイエットの味方になってくれるのです。
ただ、「じゃあ今日からおやつが食べ放題!」というわけではありません。間食のことをよく知って上手に食べることで、健康的なダイエットや、肥満の予防ができるのです。
どうして「間食」でダイエットができるの?
一般的には、「食べたエネルギー量>消費エネルギー量」になると体重が増えます。反対に、「食べたエネルギー量<消費エネルギー量」になれば、不足のエネルギーを捻出するために身体の余計な脂肪を燃焼させるので、痩せることができます。
今体型やダイエットにお悩みの方は、特に夕食を食べすぎて、1日の総摂取エネルギーが多くなってしまう場合が多いです。なぜみなさんは、夕食を食べすぎてしまうのでしょうか?
みなさん、夕食の時間は何時ですか?12~13時に昼食を摂って、18時にお仕事が終わり、家に帰ってごはんの支度をして、食べられるのは20時…。もしくは、家族の帰宅を待って21~22時に食べる…という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このように、昼食から夕食までの時間が空いてしまうと、当然夕食前にはお腹が減ってしまいますよね。実はこのお腹が空いた状態になると、脳から「次の食事はたくさん食べないと!」という司令が出てしまうので、食欲が亢進して、夕食を食べすぎてしまうことが多いのです。みなさんの理性の問題ではなく、身体の生理学的な問題です。
お腹が空いた状態は、言い換えると「身体がエネルギー不足になっている状態」。すぐに身体のエネルギーになる栄養素「糖質」を欲して、ご飯やパンの食べ過ぎに繋がります。
ご飯やパンなどの糖質は、食べるとすぐにエネルギーに変わります。消化、吸収されると急激に血液中に糖分が入っていき、血糖値が急激に上がります。そのあと身体は急いで血糖値を下げようとするので、低血糖になり、食事から少し時間が経っただけでもすぐに空腹感を感じて、糖質を摂りたくなってしまうのです。
このように夕食前にお腹を空かせ過ぎてしまうと、余計に食べたくなり、その後もすぐに食べたくなる、という悪循環を引き起こします。
特に血糖値を下げる時には「インスリン」というホルモンが出ますが、このインスリンが血液中の過剰なブドウ糖を体脂肪組織に入れ込んでいくので、どんどん太りやすくなってしまいます。
この悪循環を引き起こさないための、食事の間の目安時間は「8時間」です。それでは、どうしても昼食と夕食の間が8時間以上空いてしまう場合はどうしたらよいでしょうか?この時に大切なのが、「間食」です。間食で空腹を落ち着かせることで夕食の食べすぎを防ぎ、肥満の予防になるのです。
「間食」は、どんな人に向いている?
先述の通り、食事の間の時間が「8時間以上空く」方は、間食を取り入れる方が良いです。他には、間食や食べることが大好きで、間食しないことが大きなストレスになる方。我慢してストレスが溜まって暴飲暴食、リバウンドしてしまう方や、昼食の後に眠くなったり、頭がぼーっとしたりする(低血糖になる)方も、むしろ間食と上手にお付き合いしていく方が良いですね。
あとは、疲れやすい、体調を崩しやすい、スタミナがない、肌荒れや冷え性がある…このような方にも間食はオススメです。なぜなら、そのような症状が出てしまうのは、普段の食事から摂ってほしい栄養素が不足している可能性が高いからです。
普段の食事を、振り返ってみましょう。
今日のお昼ごはんは、何を食べましたか?ごはんやパン、麺などは食べたけどおかずを食べていない、肉は好きだけど魚は食べない、野菜やきのこ、海藻は好きではない…。そんな食生活では、身体に必要な栄養素が足りなくなってしまいます。お腹いっぱい食べていても、栄養素が足りなくて身体の調子が悪くなる。そんな方にも、間食で不足する栄養素を補うことをオススメします。
改めて間食が向いている方をまとめてみると、
- 夕食が20時を過ぎることが多い
- 昼食のあと、眠くなったり、ぼーっとしてしまう
- 食べることや、間食が好き
- 健康診断で、血糖値が悪かった
どれか一つでも当てはまる方には、間食をしながらダイエットにチャレンジするのがオススメです。朝・昼・夕と食事を適切な時間で食べられる方や、朝昼とバランスよく食べられている方、身体の調子に問題がない方には、間食は不要です。
「間食」で栄養を補給しよう!
具体的に、どんな栄養素が足りないのでしょうか。間食で補給したい栄養素を紹介します。
・ビタミンC
食事で生野菜、生果物を食べない人に不足しがちな栄養素です。
ビタミンCは、老化防止や、強い抗酸化作用のある栄養素です。他にも、肌や血管を作る「コラーゲン」の生成にも必要な栄養素です。ビタミンCは身体に貯めておくことができないので、毎日補給することが大切です。間食に果物を食べると、自然に補うことができますよ。
成人が1日に必要なビタミンCは、100mg。果物に入っているビタミンCの量をみてみましょう。
○ネーブルオレンジ 1個 60mg
○キウイ 1個 70~140mg
○柿 1個 110mg
○いちご 10個 100mg
・カルシウム
カルシウムは、骨を強くして将来の骨粗鬆症の予防効果があることがよく知られていますが、その他にも実は、筋肉や血管の機能を高める、神経伝達物質を分泌する、有害物質を排泄する、などの働きもあります。また、カルシウムはストレスを感じると失われる栄養素なので、忙しいみなさんには必須の栄養素ですね。
牛乳や乳製品、オーツミルクなどの植物性ミルクの他、小魚など骨ごと食べられるお魚にも豊富に含まれていますよ♪
・鉄分
鉄は、貧血予防に大切な栄養素です。鉄は、全身に酸素を運ぶヘモグロビンの材料になります。鉄が不足すると身体に酸素を運ぶことができなくなり、酸欠状態になることで、疲れやすさやぼーっとするなどの貧血症状を引き起こします。
プルーンやナツメなどに豊富に含まれているので、これらのドライフルーツもオススメです。鉄分強化の飲むヨーグルトなども、コンビニで手軽に買うことができますよ。
・亜鉛
亜鉛は、酵素の働きに必要不可欠の他、細胞を作るためにも必須のミネラルです。亜鉛が不足すると、味覚を感じる味蕾細胞にも影響が出て、味覚障害を引き起こします。そのほか免疫力低下や皮膚炎、うつ病などにも繋がる場合があります。亜鉛は、血糖管理にも良い影響がある栄養素なので、積極的に摂りたいですね。
亜鉛を多く含む食品は、特に牡蠣、その他の魚介類にも含まれます。レバーや鶏モモ肉、大豆(枝豆、きなこ、油揚げなど)、お米にも入っています。
・マグネシウム
マグネシウムは、ビタミンB群の働きを助ける作用があります。ビタミンB群は、炭水化物・たんぱく質・脂質を代謝してエネルギーに変えるために必要な栄養素です。マグネシウムは、そんなビタミンB群の働きを助けエネルギー産生することや、ホルモン分泌、動脈硬化の予防などに効果的な栄養素です。
マグネシウムはお魚や海藻類、アーモンドなどのナッツ類に多く含まれています。
小魚やアーモンド、牛乳や果物など、3食の食事では食べにくいものを間食に摂ることで、不足しがちな栄養素を補給することもできるのです。
少し間食へのイメージが変わってきますね。
やみくもに食べるのはNG!間食のルール
間食はダイエット、健康的な食生活にとってプラスである!というのはお分かりいただけたかと思います。ただ、やみくもに何を食べてもOKというわけではありません。
いくつかルールがあるので、確認していきましょう。
☆1日の間食は、200kcalまで!
間食で一番大切なのは、やっぱり「量」です。量を摂りすぎると、結局「食べたエネルギー量>消費エネルギー量」になり、太ってしまう原因となります。間食で食べすぎると、1日の総エネルギーを調整するために食事をガマンする必要性がありますし、間食しすぎて日中眠くなる、という悪い影響も出ます。1日に200kcalを目安に、ご自身に合った間食の量を見つけていきましょう。
それでは、200kcalの目安量を確認してみましょう。
- おにぎり 1個
- 惣菜パン 半分くらい
- サンドイッチ 2切れ
- りんご半分+ヨーグルト1カップ
食べたいもののエネルギー表示を確認すると、200kcalを超えることもあるかと思います。その時は、200kcal程度まで食べて、あとはストップできれば大丈夫!食べ進めてから途中で中断するのは、よほど強い意思がなければ難しいでしょう。初めに取り分けて、手元に200kcal分だけ用意しておきましょう。
☆間食のタイミングは、昼食の4時間後!
間食した方が良いのは、「食事の間が8時間以上あく方」。むしろ間食をしない方がいい方は、「食事の間が6時間以内」の方です。
ヒトは何かを食べると血糖値が上がり、約3-4時間後には、食前の血糖値まで戻るというメカニズムを持っています。食前の血糖値近くまで下がったときに、空腹感を感じたり、頭がぼーっとしたりするのです。ただ、その1-2時間後に次の食事を食べられる場合は、わざわざ間食で補う必要はありません。そこで食べてしまうと次の食事と近いので、逆に食事の量を減らさなければ、食べすぎて体脂肪が増える可能性が高いです。
この考え方を頭に入れておくと、朝食から昼食は概ね6時間程度で食べられることが多いと思いますので、午前中の間食は基本的には不要なことがわかりますね^^ 少しお腹が空いた時は、昼食は何を食べようかな、と空腹感を楽しめるようになるとベストです。
先述の通り、血糖値は食後3~4時間で元に戻ります。食事の間が8時間以上あくような間食が必要な方の場合は、昼食→間食→夕食の間隔を、それぞれ4時間くらいに調整できるとベストです。
☆何を食べたらいい?間食を選ぶポイント3つのルール
間食の定番といえば、チョコレート、クッキーなどの焼き菓子、菓子パン、プリン、大福、お団子、おせんべいなど、食べる方が多いのではないでしょうか?間食で太ってしまうのは、この「糖質」だけを摂ることが大きな原因です。
先ほども記載していましたが、糖質だけを食べることで血糖値は急上昇します。そのあとインスリンが出て血糖値を急激に下げることで、また低血糖を起こして空腹感を感じる悪循環や、血糖値を下げるときに体脂肪合成が進んでしまうのです。太らずに間食と上手に付き合っていくためには、なるべく間食で糖質を摂りすぎない方が良いのです。
では間食は、何を・どうやって食べれば良いのでしょうか?答えは、糖質の他に「たんぱく質」や「脂質」を組み合わせて食べることです。たんぱく質や脂質というと、肉や魚、卵などの、「間食」といった時には頭に浮かびにくい食材です。
糖質を摂ったとき、糖質をエネルギーに変換するためにはビタミンB1が必要です。ビタミンB1が不足すると、糖質はエネルギーとして利用することができず、身体に蓄積して太ってしまったり、疲れやだるさを引き起こしたりします。おにぎりやパンばかり食べて、身体に疲れが残った経験はありませんか?間食にも糖質だけ食べるから、エネルギー源にならず太ってしまうのです。
200kcalのうち糖質を減らして、肉や魚、卵、乳製品なども入れてみましょう。代謝面以外にも、たんぱく質や脂質は消化が遅く、血糖値の変動も糖質に比べて穏やかになるので、腹持ちが良いというメリットもあります。
例えば
- おにぎり(糖質)+ゆで卵(たんぱく質)
- ソーセージパン(糖質+たんぱく質+脂質)
- クラッカー(糖質)+チーズ(たんぱく質+脂質)
- バナナ(糖質)+ヨーグルト(たんぱく質+脂質)
上手な間食とのお付き合いをまとめてみると、
・食間が8時間以上あく人、間食習慣があるけどダイエットしたい人には、間食はオススメ
・食べるタイミングは食後4時間を目安に
・糖質とたんぱく質、脂質を組み合わせて、200kcal程度に収める
上記の3つのポイントを抑えることで、間食で血糖値の変動を攻略し、健康的にダイエットすることができます。ぜひ、チャレンジしてみてくださいね♪
やまおか内科クリニックではお薬での治療だけでなく、食事習慣の改善=栄養指導にも積極的に取り組んでおります。ご興味のある方は是非お声がけ下さい♪
文責:Diet Labo PLANET 代表 管理栄養士 和田宵湖