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アレルギー性鼻炎って?
アレルギー性鼻炎は、アレルギーの原因となる物質(抗原・アレルゲン)に対するくしゃみ、鼻閉、鼻・目の痒みといった症状が出る疾患です。
1年を通して症状が出る通年性と、一定期間のみ症状がでる季節性に分類されます。
通年性はダニ、ペット、ゴキブリなど1年中存在するアレルゲンに対する反応で、季節性はスギやヒノキといった花粉抗原に対する季節限定のアレルギー反応です。
特に「スギ花粉症」と「ダニによる通年性アレルギー」が多く、日本人の約5人に2人はスギ花粉症、約4人に1人はダニアレルギーと言われています。
花粉症やアレルギー性鼻炎はありふれた疾患ではありますが、日常生活の様々な場面に影響を及ぼします。
- 思考力・集中力の低下
- 睡眠障害・日中の眠気
- いらいら感
- 外出の支障
- 疲労感 など
正しく検査・治療を行うことで、日常生活の質(QOL)の向上が期待できます。
アレルギー性鼻炎と似た症状が起こる疾患
✅ 慢性副鼻腔炎;副鼻腔に慢性的に炎症が起こっている状態。
✅ 急性鼻炎:ウイルス感染・感冒によって鼻の症状が出ている状態。
✅ 血管運動性(本態性)鼻炎:いわゆる寒暖差アレルギー。他に疲労や、ストレス、タバコが原因となることがある。
✅ 老人性鼻漏(老人性鼻炎):鼻の粘膜は湿度を調整するフィルター機能がありますが、加齢とともに粘膜は委縮し、フィルター機能が低下します。余分な水分を吸収できずに鼻汁として流れ出てしまいます。アレルギー薬が効かないのが特徴です。
など
原因アレルゲンの検査について
血液検査でアレルギー性鼻炎の原因(アレルゲン)を特定することが可能です。当院では鼻炎の方に対して13種類のアレルゲン抗体測定を行っています。
(スギ・ヒノキ・ハンノキ・ヨモギ・ブタクサ・カモガヤ・ヤケヒョウダニ・ネコ・イヌ・ゴキブリ・ユスリカ・ガ・カビ)
検査費用は3割負担の型で検査料はおよそ5000円程度です。
一部の項目のみや、その他の項目も検査可能ですのでご相談下さい。(3割負担の方で1項目あたり330円、その他採血手技・判断料で500円程度)
アレルギー性鼻炎の治療
- 抗原の回避
- 薬物療法(抗ヒスタミン薬・抗ロイコトリエン拮抗薬・点鼻薬・生物学的製剤)
- 舌下免疫療法
抗原(アレルゲン)の回避
身体が抗原(アレルゲン)にさらされない様に対策します。
外出時にマスクやゴーグルを着用する
衣服や寝具、室内を清潔に保つ。など
薬物療法
ー内服薬
◇抗ヒスタミン薬
「ヒスタミン」は神経伝達物質と呼ばれ、様々なアレルギー反応を引き起こします。ヒスタミンの働きを抑えることでアレルギー症状を改善する薬です。
テレビのCMでよく宣伝されている薬で、一部はドラッグストアでの購入も可能です。第1世代と第2世代に分かれており、第1世代は眠気が強くでるため、第2世代の抗ヒスタミン薬を使用します。
第2世代の抗ヒスタミン薬でも眠気が出やすいものがあり、特に車の運転に関しては禁止されている薬剤もあるためご注意ください。
車の運転禁止 | 車の運転に注意 | 車の運転に関する記載なし (内服OK) |
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!セレスタミンに注意!
花粉症やアレルギー症状で「セレスタミン」を服用されている方は注意が必要です。セレスタミンは第一世代の抗ヒスタミン薬とステロイドの配合薬です(クロルフェラニンマレイン2mg(ポララミン)+ベタメタゾン0.25mg(リンデロン))。セレスタミン1錠にはプレドニン2.5mg相当のステロイドが含まれています。ステロイドは強力な抗炎症作用を有しており、様々な疾患の治療で使用されている重要な薬ですが、長期服用をすることで様々な合併症リスクが上昇するため、適切に内服する必要があります。
ーステロイドの合併症ー
□ 糖尿病・高血圧・脂質異常症の悪化
□ 骨粗しょう症
□ 消化管出血
□ 白内障・緑内障 等
このような合併症リスクと、もともとの病気の治療効果を天秤にかけて慎重に投与すべき薬です。鼻炎の症状が強い場合に短期間で使用する分には良い薬ですが、長期間服用した場合には副作用のデメリットの方が大きいと考えられます。
◇ロイコトリエン受容体拮抗薬
ロイコトリエンは血管を拡張させ、鼻の粘膜を腫脹させる物質です。ロイコトリエンの働きを抑えることで、鼻閉の改善が期待できます。鼻閉の症状が強い方は抗ヒスタミン薬に加えて、ロイコトリエン受容体拮抗薬を使用する場合があります。
<処方薬>
シングレア・キプレス(モンテルカストナトリウム)
オノン(プランルカスト) など
ー点鼻薬
◇ステロイド点鼻薬
鼻腔内に直接噴霧する薬で、鼻汁や鼻閉に対する効果が期待できます。薬液にステロイドを含んでいますが、内服のセレスタミンと異なり体内にはほとんど吸収されません。粘膜局所に作用するため安全に使用できます。即効性がなく、数日かけて効果が出るため毎日使用することが重要です。
<処方薬>
アラミスト・ナゾネックス・エリザス など
!血管収縮薬に注意!
点鼻薬の中には、鼻粘膜の血管を収縮させることで粘膜の腫れを改善するものがあります。ドラッグストアで市販されている点鼻薬はこのタイプです。
即効性があり鼻閉が強い方には良い薬なのですが、長期間使用すると鼻の粘膜が肥厚し、逆に鼻閉が悪化してしまいます。(薬剤性鼻炎)あくまでステロイド点鼻薬を中心に使用し、症状が悪い場合に短期間のみの使用がお勧めです。
ー生物学的製剤
2020年に重症のスギ花粉症に対して、生物学的製剤(ゾレア(一般名オマリズマブ))が使用可能になりました。
2週間もしくは4週間ごとに1回75~600mgを注射します。重症~最重症のスギ花粉症で、上記の薬を使用しても良くならない場合には非常に良い適応になります。ただ薬剤費用が高いのが難点です(3割負担で最大6万円近くかかることも)。
※処方できる医療機関に制限があり、当院では取り扱っていません。お近くの耳鼻科クリニックにご相談ください。
舌下免疫療法
アレルギー性鼻炎のうち、スギ花粉症とダニアレルギーの方は、アレルギー体質を改善できる可能性があります。「舌下免疫療法」はスギとダニに対するアレルギー体質を改善する治療法です。アレルゲンを抽出した「薬」を毎日少量服用することで身体をアレルゲンに慣れさせ、スギ花粉やダニに曝露された際のアレルギー反応を軽減します。
アレルギー性鼻炎と診断され、血液検査で「スギ」「ヤケヒョウダニ」の抗体が陽性であれば舌下免疫療法を受けられます。治療方法は、毎日薬を1錠内服(舌下投与)します。スギ花粉症の方は「シダキュア」、ダニアレルギーの方は「ミティキュア」を服用します。
「シダキュア」は花粉が飛散している時期には治療は開始できません。花粉が落ち着く6月以降に治療を開始します。翌シーズンには9割以上の方が効果を実感できます。「ミティキュア」は1年中いつでも治療が開始できます。
デメリットとしては3~5年継続して内服、通院が必要なことですが、QOL(生活の質)の改善を実感できる治療法です。
やまおか内科クリニックは舌下免疫療法の登録医療機関ですので「シダキュア」「ミティキュア」の処方が可能です。
アレルギー性鼻炎の検査と治療方法について解説しました。
市販の薬でなかなか良くならない方や、お薬の量を減らしたい方、舌下免疫療法に興味がある方はお気軽にご相談ください。