インスリン注射が週1回に?インスリン「イコデク」

ノボラピッドやトレシーバなどのインスリン製剤を製造販売しているノボノルディスクファーマから、週1回投与の新しいインスリン製剤「インスリン イコデク」が登場しました。2023年8月10日に「インスリン療法が適応となる糖尿病」を適応症として、国内での製造販売承認申請を行ったとプレスリリースされました。
(2024年6月7日追記)
2024年5月31日に厚生労働省審議会でインスリンイコデグ(商品名:アウィクリ)が承認されました。(週1回皮下投与の基礎インスリン製剤・アウィクリなど新薬8製品承認へ

そんな新薬、「インスリン イコデク」について簡単に紹介します。

インスリンの種類


現在使用されているインスリンは、作用が持続する時間によって大きく2種類に分かれています。
食事による血糖上昇を速やかに抑える「(超)速効型」と、1日を通して長時間血糖を安定させる「持効型インスリン」があります。

持効型インスリンに関しては作用時間が24時間程度の「ランタス(インスリングラルギン)」、24~36時間程度の「トレシーバー」が使用されることが多いです。1日に1回注射すれば1日中インスリンが効くイメージですね。

今回、1週間効果が持続する「超」持効型インスリンである「イコデク」が開発されました。
毎日注射するのが大変な方には朗報かもしれません。

効果と安全性について(臨床試験結果)


早速臨床試験の結果を紹介します。
今回紹介する臨床試験は第3相試験の「ONWARDS」試験です。

ー目的

週1回インスリン製剤(イコデグ)の1日1回インスリン製剤(グラルギン)と比較した有効性と安全性を評価する

ー対象患者

インスリンを使用したことがない2型糖尿病患者
☑ イコデク群:492名
☑ グラルギン群:492名

ー評価項目

☑ 52週時点でのHbA1cの変化
☑ 48~52週時点での目標血糖範囲(血糖70~180)に収まっていた時間
☑ 低血糖のリスク

ー結果

☑ 52週時点でのHbA1cの推移

イコデク群:平均-1.55%(8.50%→6.93%)
グラルギン群:平均-1.35%(8.44→7.12%)

非劣勢、また有意差をもって優越性が示されました。

(文献1NEJMより引用)

(文献1NEJMより引用)

☑ 48~52週時点での目標血糖範囲(血糖70~180)に収まっていた時間

イデコク群71.9%
グラルギン群66.9%(P<0.001)

であり、血糖値が安定している時間もイコデク群の方が多い結果となっています。

 低血糖のリスク

52週目と83週目の低血糖イベントの発生率は両群で同程度でした。
(文献1NEJMより引用)

 

イコデグ、グラルギン共に血糖コントロール(HbA1c、目標血糖内の時間、低血糖を伴わないHbA1c<7%)が良好であり、低血糖リスクに関しても差はないという結果です。

どんな人が対象?


基本的にインスリンが必要な方は皆さん対象となりますが、その中でも、

・ご自身やご家族でのインスリン注射が困難な方(ご高齢や認知症の方、在宅療養中の方など)
・仕事などで毎日の注射が困難な方

にとっては良い適応になるかもしれません。
ただインスリンが過量となった場合には、効果が1週間持続してしまうので注意が必要そうです(特に高齢者の方)。

まとめ


週1回のインスリン製剤のお話でした。週1回の注射薬といえばGLP-1(トルリシティ、オゼンピック、マンジャロ)がすでに活躍していますが、今回のインスリン「イコデク」と合わせて今後の糖尿病治療が大きく変わるかもしれませんね。
2024年5月31日に厚生労働省審議会で無事承認されました。あとは薬価が気になるところです。
(→マンジャロについての解説はこちら

文献)
1,Weekly Icodec versus Daily Glargine U100 in Type 2 Diabetes without Previous Insulin, N Engl J Med 2023; 389:297-308
2,ノボ ノルディスク ファーマ、週1回投与の「インスリン イコデク (遺伝子組換え) 」について、インスリン療法が適応となる糖尿病の適応症で日本において製造販売承認申請

やまおか内科クリニック
院長:山岡 祥
日本内科学会認定内科医
日本糖尿病協会 登録医
日本消化器病学会 専門医
日本消化器内視鏡学会 専門医

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