3回目接種とオミクロン株について

世界中でオミクロン株が流行する中、日本国内でも感染者が多数報告されています。
感染力が非常に強いものの未だ不明な点が多いオミクロン株ですが、各自治体で3回目のワクチン接種が開始されました。12月25日時点で分かっている”3回目接種”と”オミクロン株”についてまとめました。

ポイントは以下の2点です。

・ファイザー、モデルナ社共に3回接種によりオミクロン株に対する中和抗体は上昇する。
・3回目はどちらのワクチンを接種しても抗体価は上昇し、安全性にも問題はない。

 

ファイザー社の報告について

米ファイザー社・独ビオンテックは12月8日にワクチンの3回目接種がオミクロン株に対する有効性が期待できると公表しました。(原文はこちら
以下のように報告されています。

  • 実験室での研究では、3回接種でオミクロン株を中和する一方、2回接種では中和力価が有意に減少する。
  • 3回目接種により中和抗体価が2回の投与に比べて25倍上昇する。
  • 2回の投与でも重症化に対する予防効果が期待される。

モデルナ社の報告について

モデルナ社は12月20日に3回目接種によってオミクロン株に対する抗体価が上昇する公表しました。(原文はこちら
現在承認されているワクチンの50μg投与では、オミクロンに対する中和抗体レベルがブースター前と比較して約37倍、100μg投与では中和抗体レベルがブースター前と比較して約83倍増加したと報告されています。

このようにファイザー社モデルナ社共に、3回目接種によってオミクロン株に対する抗体が上昇すると報告されれています。

 

交差接種について

初回シリーズ(1回目、2回目)と異なるワクチンを3回目に使用する交差接種についても報告があります。査読前論文にはなりますが米国10施設で行われた交差接種を含んだ追加接種の安全性やIgG抗体価、中和抗体価についての論文が報告されています。(Atmar RL et al

初回シリーズ(1回目、2回目)接種と3回目接種に関して、ファイザー社とモデルナ社の組み合わせは4通り考えられます。それぞれの3回目接種による抗体価の変化は以下の通りです。

使用ワクチン IgG 中和抗体
モデルナ➡モデルナ➡モデルナ 859.2→6799.8(7.9倍) 88.7→901(10.2倍)
ファイザー➡ファイザー➡モデルナ 356.6→6155.0(17.3倍) 24.8→495.7(31.7倍)
モデルナ➡モデルナ➡ファイザー 534.4→5195.6(9.7倍) 57.6→677.9(11.5倍)
ファイザー➡ファイザー➡ファイザー 223.5→3409.1(14.9倍) 21.4→446.7(20倍)

(Table2より改編)

安全性に関して著者らは、交差摂取を伴う追加接種の副反応は、1.2回目接種で報告された副反応と同程度であったと報告しています。
また”交差接種”と”同じワクチンの接種”でも副反応は同様であったとしています。
この論文での抗体価はD614G変異株に対するものであり、オミクロン株では無い点や、3回目接種にモデルナ100μgが使用されていますが、日本での3回目接種では50µgになる点は注意が必要です。

 

まとめ

以上から、12月25日時点で3回目接種について分かっていることは以下の通りです。

  •  ファイザー、モデルナ社共に3回接種によりオミクロン株に対する中和抗体は上昇する。
  • 交差接種でも抗体価は上昇し、安全性にも問題はない。  

厚生労働省は3回目接種に関して、どちらのワクチンを選択しても良いと公表しています。3回目の接種券が届いた方は予約の取れる接種会場を選択頂ければと思います。(https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0100.html

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