大腸カメラで見つかったポリープはどう治す?切除の種類と流れを専門医が解説

大腸ポリープとは、大腸の粘膜にできる小さな「できもの」のことです。多くは良性ですが、中には放置すると将来がんに変わるタイプもあります。そのため、医師が必要と判断した場合には、内視鏡を使ってポリープを切除します。

今回は、大腸ポリープを切除する主な方法についてわかりやすくご紹介します。


どうして大腸ポリープを取るの??

大腸ポリープは、小さいうちは症状が出ないことがほとんどですが、徐々に大きくなるにつれて「がん化」するリスクが高まります。
ポリープを早期に切除することは、「大腸がんの予防」において非常に重要です。現在は内視鏡の技術が進歩し、手術をせずに安全・確実にポリープを取り除くことが可能になっています。

 


大腸ポリープを切除する方法

大腸カメラでポリープを切除する方法は以下の4つに分けられます。

■コールドスネアポリペクトミー(CSP)◎
■ポリペクトミー◎
■EMR(内視鏡下粘膜切除術)◎
■ESD(内視鏡下粘膜下層剥離術)※

◎:やまおか内科クリニックで処置可能
※:病院でのみ可能

■コールドスネアポリペクトミー(CSP)

最近もっともよく行われる方法が「コールドスネアポリペクトミー(CSP)」です。
「コールド」とは、電気を使わないという意味です。細いワイヤーの輪(スネア)をポリープにかけて、そのまま機械的に切り取ります。

<特徴>
・大きさ10mm以下程度の小さなポリープに適しています。
・電気を使わないため、粘膜の深い部分まで熱が伝わらず、腸に穴があくリスク(穿孔)や出血が少ないのが利点です。
・検査と同じ日に、そのまま安全に行えることも多く、日帰りで可能です。

<メリット>
・安全性が高く、合併症が少ない
<デメリット>
・癌の合併リスクがある場合は取り残しのリスクがある。

小さなポリープに対しては、この方法が第一選択となることが増えています。


■ポリペクトミー(ホットスネアポリペクトミー)

「ポリペクトミー」とは、電気を使ってポリープを焼き切る方法です。
スネアというワイヤーをポリープの根元にかけ、通電して熱で切除します。
以前から行われている標準的な治療法です。

<特徴>
電気で焼き切ることで、切除時の出血を防止できます。
・一方で、熱が加わるため腸の壁にダメージが及び、稀に穿孔や遅発性出血を起こすことがあります。

最近では安全性の面から、小さなポリープにはコールドスネアが用いられることが多くなりましたが、形状や部位によっては従来のポリペクトミーを選択することもあります。


■ EMR(内視鏡的粘膜切除術)

「EMR(Endoscopic Mucosal Resection)」は、少し大きめのポリープや早期がんに対して行う方法です。
まずポリープの下に生理食塩水などを注入して、ポリープを大腸の壁から浮き上がらせます。その上でスネアをかけ、電気を通して切除します。

<特徴>
大きさ10mm以上のポリープや平坦な病変に適しています。
病変をしっかり持ち上げてから切るため、深い層を傷つけにくく安全です。
日帰りでも可能ですが、病変が大きい場合は入院が必要なケースもあります。

<メリット>
・比較的大きな病変も一括で取ることができる
・入院が必要なケースもあるが、体への負担は軽い

<デメリット>
穿孔や遅発性出血を起こすことがあります。

 


■ ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)

「ESD(Endoscopic Submucosal Dissection)」は、より進行した早期がんや広範囲なポリープに対して行う高度な内視鏡治療です。
EMRでは一度に取り切れない大きな病変を、特殊な電気メスで少しずつ剥がしながら切除します。

<特徴>
・2cm以上の広い病変でも、一括で完全に取り除くことが可能
・病変の取り残しが少なく、病理診断の精度も高い
・一方で、出血や穿孔のリスクが高く、経験豊富な内視鏡専門医による慎重な操作が必要です。

ESDは通常、入院下で行われることが多いですが、開腹手術を避けて根治的な治療を内視鏡だけで完結できる点で、非常に有用な方法です。
およそ1週間程度の入院が必要です。


■ 切除後の注意点

ポリープを切除したあとは、傷口が治るまでの間に出血することがあります。
特に電気を使った場合は、数日〜1週間後に出血する「遅発性出血」に注意が必要です。

主な注意点は以下の通りです:

  • 当日は激しい運動を避ける
  • 数日は飲酒を控える
  • 便に血が混じる、腹痛が強い場合はすぐに医療機関へ連絡、受診する。

切除したポリープはすべて病理検査に出し、がん細胞がないか、取り残しがないかを確認します。結果をもとに、次回の内視鏡検査のタイミングが決まります。


■ まとめ

方法 特徴 当院での対応 メリット
コールドスネアポリペクトミー(CSP) 電気を使わない 可能 合併症が少ない・日帰り可能
ポリペクトミー 電気で焼き切る 可能 処置時出血予防効果あり
EMR 粘膜下に生理食塩水を注入し切除 可能 比較的大きな病変も切除可能
ESD 特殊な電気メスで剥離切除 不可・総合病院のみ 完全切除が可能

■ 最後に

大腸ポリープは「早期発見・早期切除」で大腸がんを予防できる病変です。
近年は、内視鏡の性能向上と治療技術の進歩により、より安全に、より確実にポリープを取り除くことが可能になっています。

平野区のやまおか内科クリニックでは、ポリープの大きさ・形状・位置などを総合的に判断し、患者さんに最適な方法で治療を実施しています。
大腸カメラでポリープを指摘された方は、ぜひ一度ご相談ください。

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