2023年1月27日、厚生労働省の薬食審・医薬品第一部会で「肥満症」を対象疾患としたウゴービ皮下注(セマグルチド)を承認することを了承した、と報じられました。2~3月には正式に承認される見通しのようです。
3月28日追記:ノボ・ノルディスクファーマは「ウゴービ皮下注」に関して厚生労働省より肥満治療薬として承認を得たと公表しました(3月27日)。
肥満治療薬として期待される「ウゴービ」について解説します。
ウゴービとは?
一般名は「セマグルチド」と言い、「GLP-1受容体作動薬」に分類されます。
糖尿病治療薬の「オゼンピック」や「リベルサス」と同じ成分です。
投与方法は「オゼンピック」と同様、週1回皮下注射を行います。
容量は0.25㎎、0.5mg、1.0㎎、1.7mg、2.4mgの5段階があり、0.25mgからスタートし4週毎に増量していきます。
対象となる患者は?
高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のいずれかを有した肥満症患者
ただし、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限る。
「BMI:27以上で2つ以上の肥満に関連した健康障害がある※。」
もしくは
「BMI:35以上」
※肥満に関連した健康障害は、冠動脈疾患(狭心症や心筋梗塞)、脳梗塞、脂肪肝、睡眠時無呼吸症候群、月経異常、変形性膝関節症、慢性腎臓病などが挙げられます。
「ウゴービ」は既に糖尿病治療薬で使用されている「オゼンピック」や「リベルサス」と同様に、脳での食欲調整機構に作用したり、胃の蠕動運動の抑制することで体重減少効果が期待されます。
オゼンピックの最大投与量が1.0mgであったのに対して、ウゴービは最大2.4mgの投与が可能です。「オゼンピック」の最大2.4倍と考えると効果は高そうですね。
どれくらい体重が減るの?
気になる体重減少の効果ですが、
日本人を含んだ東アジア人を対象とした臨床試験(STEP6試験)では
68週間後の体重が、
ウゴービ2.4mg群で-13.2%
ウゴービ1.7mg群で-9.6%
プラセボ群で-2.1%
という結果になっています。(※対象患者は「ウゴービ」適応患者と同じです)
また2.4mg群の83%、1.7mg群の72%で5%以上の体重減少を達成しています。(プラセボ群では21%)
100kgを超える人では単純計算で10kg以上の体重減少を達成したわけですね。
有害事象に関しては
2.4mgで86%、1.7mg群で82%、プラセボ群で79%と報告されています。
特にウゴービでは胃腸障害が多く、2.4mg群で59%、1.7㎎群で64%、プラセボ群では30%でした。
食欲を落とすことが「ウゴービ」の目的なので自然な結果とも言えます。
費用はどれくらい?
現時点(2023年2月6日時点)では正式承認されておらず、薬価も不明です。
参考までにオゼンピックの薬価を載せておきます。
0.25mg:1376円/キット
0.5mg:2752円/キット
1.0mg:5504円/キット
まとめ
待望の肥満治療薬「ウゴービ」についてでした。
これまでは糖尿病がある患者さんでしか「オゼンピック」や「リベルサス」が使えず、自費で処方してもらしかありませんでした。保険での処方が可能になる時期は未定ですが肥満でお悩みの方には朗報ですね。続報を待ちましょう。
追記)
2023年8月の薬価収載は見送られました。
5月にはアメリカでの供給不足も報じられており日本での導入には時間がかかりそうです。
文献)
肥満症薬・ウゴービなど3製品承認へ プレセデックスの新規小児適応も 薬食審・第一部会で了承
Lancet Diabetes Endocrinol, 2022 Mar;10(3):193-206