頭痛は我慢せず「やまおか内科クリニック」にご相談ください
頭痛に悩まれている方は少なくありません。
頭痛の中でも有名な「片頭痛」は約10人に1人、「緊張型頭痛」は約5人に1人と、非常に多く方が頭痛に悩まされています。
「頭痛はあるけどクリニックに行くほどではないかな?」と市販の内服薬を使用されている方もおられるかと思います。
一口に頭痛と言っても、症状や程度、原因などは様々です。
中には命に関わる危険な頭痛や、鎮痛薬が原因の頭痛もあります。
頭痛に悩まれている方は、自己判断はせずに一度かかりつけ医に相談してみましょう。
頭痛の種類
頭痛は大きく1次性頭痛と2次性頭痛に分けれらます。
1次性頭痛
頭痛そのものが病気のタイプです。
「片頭痛」「緊張型頭痛」「群発頭痛」が該当します。
頭痛患者さんの約90%が1次性頭痛と言われており、長年繰り返し頭痛に悩まされている方が多い頭痛です。
2次性頭痛
ほかの病気が原因で頭痛が引き起こされるタイプです。
突然発症した頭痛や、今まで経験したことない痛みや、普段と様子の異なる頭痛は2次性頭痛の可能性が高くなります。
「脳腫瘍」「くも膜下出血」「高血圧」「髄膜炎」などが原因になります。
!緊急性の高い頭痛!
「2次性頭痛」は命に係わる重大な病気がかかわっていることがあります。
以下の症状がある方は「2次性頭痛」の可能性があるため、直ちに医療機関を受診してください。
- 今まで経験したことないほどの痛みがある。
- 突然起こった頭痛
- 徐々に始まった頭痛が数日・数週間かけてどんどんひどくなる
- 高熱や嘔吐・嘔気を伴う
- 字を読みにくい、書きにくい、手がうまく動かないなどの神経症状がある
頻度の高い一次性頭痛 ー片頭痛ー
日本で「片頭痛」に悩まされている方は約8.4%と報告されています。
特に20~40代の女性に多く、30代女性で焼く20%、40代女性でも約18%と、有病率が高いのが特徴です。
片頭痛の特徴は以下の通りです。
- ズキズキする拍動性の頭痛
- 片側もしくは両側が痛む
- 光やにおいに敏感になる
- 吐き気を伴うことがある
- 頭痛の前に、目の前にまぶしい光やギザギザ模様が出ることがある
- ストレスがかかった時や、ほっとしたときに多い
- 入浴や飲酒で症状が悪化する
- 月に1回から数回起きる
- 発作の持続時間は数時間~3日程度
- 頭痛を避けるために動けなくなったり、寝込んだりする。日常生活に支障をきたす。
片頭痛の治療
発作急性期の治療
副作用や副反応なく、片頭痛発作を速やかに改善させることが重要です。
主に使用される薬剤は下記の通りです。
- ロキソプロフェン・アセトアミノフェンなどの鎮痛薬
- トリプタン製剤(スマトリプタン)
- 制吐剤(メトクロプラミド)
- レイボー(新薬・2022年6月8日~処方可能)
ロキソプロフェンやアセトアミノフェンは処方薬やOTC薬(処方箋が無くてもドラッグストアで購入できる薬)としてよく使用される薬です。
副作用が少なく安全で、価格も安価なのが特徴です。
症状が軽い方でまず使用される薬になります。
症状が強い場合や、ロキソプロフェンやアセトアミノフェンで効果が乏しい場合はトリプタン製剤(スマトリプタン)を使用します。
一般的に、頭痛に対する効果は「トリプタン製剤」の方が強いとされていますが、のどや首、胸の締め付け感や圧迫感、息苦しさといった不快感を生じることがあります。これらの症状はトリプタン製剤に特徴的な副作用です。トリプタン製剤の種類を変えたり、服薬するタイミングを変えることで改善する可能性があります。
トリプタン製剤は血管を収縮させる作用があるため、心筋梗塞や狭心症、脳卒中などの既往がある方や、管理不十分な高血圧の方では使用できません。
ー片頭痛急性期治療に新薬レイボーが登場ー
2022年6月から片頭痛急性期の治療薬であるレイボー(ラスミジタンコハク酸塩)が処方可能になりました。
従来のお薬で効果が不十分だった方や、トリプタン製剤が合わない方の選択肢が増えます。
副作用としてめまいや眠気がやや多い傾向があるため注意が必要です。
制吐剤(吐き気止め)は、頭痛発作時に吐き気が出る場合に使用します。
上記の鎮痛薬(ロキソプロフェン・アセトアミノフェン・トリプタン製剤)と合わせて内服します。
!薬物乱用頭痛に注意!
鎮痛薬の使用する回数が多くなる場合は薬物乱用頭痛に注意が必要です。
ロキソプロフェンやアセトアミノフェン、トリプタン製剤といった薬を1か月に10日以上、3か月以上にわたって使用している場合、「薬物乱用頭痛」に移行している可能性があります。
治療のために使用しているはずの「薬」が頭痛を悪化させる原因になります。
これらの薬物の使用を中止し、「発作予防薬」の検討が必要です。
症状がなかなか良くならない場合や、発作の回数が多い場合は自己判断で鎮痛薬を使用するのではなく、担当の医師と相談するようにしましょう。
発作予防の治療
片頭痛の治療には、頭痛が起こった場合の治療薬だけでなく、発作を予防する薬が存在します。
発作予防薬は片頭痛治療の中で重要な役割を担います。
片頭痛発作が頻繁に起こる場合や、先程のロキソプロフェンやアセトアミノフェン、トリプタン製剤といった薬の効果が弱い場合は、発作予防薬を使用します。
―発作予防でよく使用する薬―
- プロプラノロール(インデラル):β遮断薬
- ロメリジン(ミグシス):カルシムチャネル拮抗薬
- バルプロ酸
- アミトリプチン
- 漢方薬:呉茱萸湯・五苓散など
それぞれの薬は頭痛以外の治療でもよく使用される薬ですが、片頭痛予防薬として保険適応があります。
効果が出るまで2か月~3か月かかります。
発作予防の効果があり、副作用もなければ、予防薬を「半年から1年ほど」継続するのが好ましいです。
―片頭痛予防に注射薬が登場―
片頭痛予防薬として、新たに注射薬が登場しました。
抗CGRP抗体・抗CGRP受容体抗体という注射薬です。
「CGRP」とは神経に存在している物質で、片頭痛発作の際に多量に発生することが知られています。
「CGRP」という、頭痛の原因となる物質を無効化するのが抗CGRP抗体・抗CGRP受容体抗体になります。
現在日本で使用可能な注射薬は以下の3つになります。
- エムガルディ
- アジョビ
- アイモビーグ
適応となる方は以下の通りです。
- 医師に片頭痛と診断されている。
- 3ヶ月以上にわたり、月に4日以上頭痛発作がある。
- 従来の予防薬を使用しても効果が不十分、副作用で継続が困難である。
- 18歳未満ではない。(妊娠中や授乳中は慎重に検討する。)
エムガルディの臨床試験では、片頭痛の日数が8.6日から3.6日分減少。
6ヶ月の使用により、約7割の人で頭痛発作が半分に減少しており、また10人に1人は頭痛が完全に無くなったと答えています。
月1回通院での注射が必要なことや、薬剤費が高額であることがデメリットですが、効果の高い発作予防薬として注目されています。
月経と関連した月経期片頭痛
女性の片頭痛の半数は月経と関連しています。
頭痛日記をつけることで、月経と頭痛の関連を把握することが大切です。
月経数日前から月経中にかけて起こることが多く、ほかの片頭痛と比べて症状が重く、持続期間が長いという特徴があります。
治療は基本的には一般的な片頭痛と同じになります。
アメリカの神経学会ではトリプタン製剤やNSAIDs(ロキソプロフェンなど)の予防投与が推奨されています。
(※日本では予防的な使用に対する保険適応がありません)
頭痛の原因として最も多い「緊張型頭痛」
日本人の約5人に1人が緊張型頭痛と言われています。
30歳以上に多く、やや女性に多いのが特徴です。
緊張型頭痛の特徴は以下の通りです。
- 締め付けるような痛み、圧迫感のある痛み、頭が重い感じがする。
- 頭の両側や後頭部が痛む
- 年に数回、毎日続くことも
- 1日中だらだら続く
- 日常生活に大きな支障はない。
緊張型頭痛の治療法
片頭痛と同様に、頭痛発作時の治療と発作予防の治療に分けられます。
発作急性期の治療
副作用や副反応なく、頭痛発作を速やかに改善させることが重要です。
主に使用される薬剤は「ロキソプロフェン」「アセトアミノフェン」などの鎮痛薬になります。
片頭痛と異なり、トリプタン製剤(スマトリプタン)や制吐剤(メトクロプラミド)は使用しません。
片頭痛と同様に、1週間に2~3日以上使用している場合は 「薬物乱用頭痛」 に注意が必要です。
発作予防の治療
片頭痛とはことなり、有効な発作予防薬は少ないのが現状です。
ストレスや精神的緊張は緊張型頭痛の大きなリスクです。
緊張型頭痛の8割以上の方に心理的ストレスや精神疾患の合併があったと報告されています。
緊張型頭痛の予防薬では主に抗うつ薬が使用されます。
肩こりや筋肉の緊張が強い方は漢方を使用する場合もあります。
緊張型頭痛では薬を使わない非薬物治療も重要です。
ストレスや精神的緊張による筋肉の緊張が原因であるため、筋肉が緊張しない状況にすることが大切です。
適度な運動や、マッサージ、リラクゼーションを行うことで頭痛の予防が期待できます。
頭痛で悩まれている方へ
頭痛治療の第一歩は、あなたの頭痛を正しく把握することです。
まずはじめに、
頭痛がどれくらい生活に影響を与えているのか?
をHIT6スコアを用いて計算します。
簡単なアンケートに答えるだけで頭痛の生活への影響具合を点数化できます。
こちらをご活用下さい。
次に頭痛ダイアリー(日記)をつけましょう。
頭痛日数や、頭痛の強さ、随伴症状、服薬日数、月経との関係などを記録します。
片頭痛や緊張型頭痛の診断に必要です。
日記を基に、担当の医師に頭痛の情報を正確に伝えることが重要です。
こちらのフォーマットをご活用下さい。(日本頭痛学会)
日記を基に、あなたに合った治療法、治療薬を主治医と一緒に考えていきましょう。
頭痛で悩まれている方は多くおられます。
「やまおか内科クリニック」にお気軽にご相談ください。
参考)