マンジャロとオゼンピック、どちらが痩せる?最新研究で減量効果を比較

「マンジャロとオゼンピックでは、結局どちらが痩せますか?」

肥満治療や糖尿病診療で非常によく聞かれる質問です。2025~2026年には、チルゼパチドとセマグルチドを直接比較した臨床試験や約2万人の実診療データが相次いで報告されました。今回は、体重が何%減ったのか、痩せるスピードに違いがあるのかを最新研究から分かりやすく解説します。

1. マンジャロとオゼンピックは何が違う?

マンジャロ®の有効成分であるチルゼパチドは、「GIP」と「GLP-1」という2種類の消化管ホルモンの受容体に作用するGIP/GLP-1受容体作動薬です。

一方、オゼンピック®やウゴービ®の有効成分であるセマグルチドは、GLP-1受容体に作用する薬です。いずれも食欲を抑えたり、満腹感を持続させたりする作用を通じて、血糖改善や体重減少につながります。

オゼンピックとウゴービは同じ薬?

どちらも有効成分はセマグルチドですが、日本ではオゼンピックは2型糖尿病治療薬、ウゴービは一定の条件を満たす肥満症治療薬として承認されています。そのため「セマグルチドの研究結果=オゼンピックをダイエット目的で使った結果」と単純に置き換えることはできません。

マンジャロのチルゼパチドとオゼンピック・ウゴービのセマグルチドの作用の違い

チルゼパチドはGIPとGLP-1、セマグルチドはGLP-1受容体に作用します。

2. 最新研究ではマンジャロとセマグルチド、どちらが痩せた?

2026年6月、医学誌「PNAS Nexus」にWeight-loss dynamics with tirzepatide versus semaglutideという研究が発表されました。

電子カルテのデータを利用し、チルゼパチドを使用した10,339人とセマグルチドを使用した10,339人、合計20,678人を比較した後ろ向き観察研究です。年齢、性別、BMI、体重、2型糖尿病の有無などをできるだけ揃える「傾向スコアマッチング」という統計手法が用いられました。

2年間に記録された最大体重減少率の平均

チルゼパチド:14.7%(16.0kg)

セマグルチド:10.8%(11.6kg)

実際の診療データでは、チルゼパチドを使用した人のほうが、平均するとより大きな体重減少を記録していました。ただし、この数字は「2年後の体重減少率」ではなく、2年間の経過中に記録された最大の体重減少を比較した数字である点には注意が必要です。

■ 10%・15%・20%以上痩せた人の割合にも差

最大体重減少率 チルゼパチド セマグルチド
5%以上 90% 82%
10%以上 68% 47%
15%以上 43% 22%
20%以上 26% 12%
25%以上 14% 5%

特に15%以上の体重減少を記録した人は43%対22%、20%以上では26%対12%でした。たとえば体重80kgの方なら、15%減量は約12kg、20%減量は約16kgに相当します。

チルゼパチドとセマグルチドの最大体重減少率と15%・20%以上減量した割合の比較

約2万人の実診療データでは、チルゼパチドでより大きな最大体重減少が記録されました。

3. マンジャロは痩せるスピードも速い?

今回の研究では、最終的な体重減少量だけではなく、どのようなスピードで体重が減ったかも解析されています。

特に15%以上減量した高反応群では、治療開始後6か月間の平均的な月間体重減少率が、チルゼパチドで2.54%/月、セマグルチドで2.18%/月となり、チルゼパチドのほうが速い体重減少と関連していました。

ただし、これは全員が毎月この割合で痩せるという意味ではありません。研究では、順調に減る人、ゆっくり減る人、ほとんど変化しない人、一度減ってから再び増える人など、さまざまな体重変化が確認されています。

「マンジャロなら毎月○kg痩せる」とは言えません

薬の効果は開始時の体重、使用量、食事、運動、糖尿病の有無、治療継続期間などでも変わります。平均値だけを見て、自分も同じペースで体重が減ると考えないことが大切です。

4. 臨床試験でもチルゼパチドの減量効果が上回った

実診療データだけでなく、より科学的な比較がしやすいランダム化比較試験でも同じ傾向が確認されています。

2025年に「New England Journal of Medicine」で発表されたSURMOUNT-5試験では、2型糖尿病のない肥満の成人751人を対象に、チルゼパチドとセマグルチドを72週間直接比較しました。

SURMOUNT-5試験:72週後の平均体重減少率

チルゼパチド:20.2%

セマグルチド:13.7%

ウエスト周囲径もチルゼパチドで18.4cm、セマグルチドで13.0cm減少しました。

ここで重要なのは、この試験のセマグルチドは最大2.4mgまで使用されており、肥満症治療薬ウゴービに相当する用量で比較されていることです。したがって、この20.2%対13.7%という結果を「マンジャロ対通常用量のオゼンピック」の比較とそのまま解釈するのは正確ではありません。

5. 日本の肥満症基準に近い患者さんでは?

2026年には、SURMOUNT-5試験の参加者のうち、日本の肥満症治療に近い条件を満たした383人を対象とするサブ解析も報告されました。

72週後の平均体重減少率は、チルゼパチド20.1%、セマグルチド12.9%でした。両群の差は7.2ポイントで、95%信頼区間は-9.3~-5.1でした。

ただし、この解析は「日本人383人」を調べた研究ではありません。世界各国のSURMOUNT-5参加者の中から、日本の肥満症基準に近い条件を満たす人を抽出した解析です。日本人にも同じ数字がそのまま当てはまるとは限らない点には注意が必要です。

6. ではマンジャロを選べばいい?薬の選び方

研究結果を見る限り、平均的な体重減少効果ではチルゼパチドがセマグルチドを上回っています。しかし、「最も痩せる薬=その人に最も適した薬」とは限りません。

糖尿病の有無、BMI、血糖値、持病、目標体重、使用できる薬の適応、費用、吐き気・便秘などの副作用、治療を継続できるかを総合的に考える必要があります。

また、2026年の約2万人の研究はランダム化比較試験ではなく、実際の電子カルテを使った後ろ向き観察研究です。背景を統計的に調整していても、薬剤の用量、継続率、生活習慣など、測定しきれない違いが結果に影響している可能性があります。

マンジャロとオゼンピックなどのGLP-1関連薬を選ぶ際に確認する糖尿病・BMI・副作用・費用などのポイント

肥満治療では減量効果だけでなく、持病や副作用、継続しやすさまで含めて薬を選択します。

7. 肥満治療は「何kg痩せるか」だけで考えない

私自身、今回の研究で特に興味深いと感じるのは、平均体重だけでなく、「よく効く人」「ゆっくり効く人」「ほとんど変わらない人」など、体重減少のパターンそのものが解析されている点です。

肥満治療では体重だけを追いかけるのではなく、血糖値、血圧、脂質、脂肪肝、食生活、運動習慣、筋肉量なども含めて長期的に管理することが大切です。

大阪市平野区のやまおか内科クリニックでは、糖尿病・生活習慣病の診療とあわせて肥満についてのご相談を行っています。東住吉区・生野区からも通院いただけます。

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糖尿病がある方は、体重だけではなくHbA1cや他の糖尿病治療薬との組み合わせも重要です。詳しくは当院の糖尿病外来についてもご確認ください。

8. マンジャロ・オゼンピック比較のよくある質問

Q マンジャロとオゼンピックはどちらが痩せますか?

A

チルゼパチドとセマグルチドを比較した最新研究では、平均的にはチルゼパチドのほうが大きな体重減少を示しています。ただし、臨床試験では肥満症用量のセマグルチドが使用されており、通常のオゼンピックとの単純比較ではありません。効果にも個人差があります。
Q マンジャロは何か月で痩せますか?

A

治療開始後から徐々に体重が減る方が多い一方、減少速度にはかなり個人差があります。開始直後の数週間だけで判断するのではなく、副作用を確認しながら段階的に用量を調整し、数か月単位で評価します。
Q マンジャロをやめるとリバウンドしますか?

A

中止後に体重が再増加する可能性があります。そのため、治療中から食事・運動・筋肉量の維持などを組み合わせ、薬をやめた後まで見据えて体重管理を行うことが重要です。

9. 参考文献

1. Venkatakrishnan AJ, Murugadoss K, Soundararajan V. Weight-loss dynamics with tirzepatide versus semaglutide. PNAS Nexus. 2026;5(6):pgag171. DOI: 10.1093/pnasnexus/pgag171.

2. Aronne LJ, Bade Horn D, le Roux CW, et al. Tirzepatide as Compared with Semaglutide for the Treatment of Obesity. N Engl J Med. 2025;393(1):26-36. DOI: 10.1056/NEJMoa2416394.

3. Kitamoto T, Yoshino M, Shingaki T, et al. Tirzepatide compared with semaglutide in obesity disease: a subpopulation analysis applying Japan Society for the Study of Obesity criteria in the global SURMOUNT-5 trial. Curr Med Res Opin. 2026;42:1219-1231. DOI: 10.1080/03007995.2026.2695047.

10. この記事を書いた人

やまおか内科クリニック

院長 山岡 祥

大阪大学医学部卒業

日本内科学会 総合内科専門医 日本消化器病学会 消化器病専門医 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医 日本糖尿病協会 登録医

糖尿病・生活習慣病の診療に加え、肥満や体重管理についても日常診療で相談を行っています。体重だけではなく、血糖値・血圧・脂質・脂肪肝なども含めて総合的に評価し、一人ひとりに合った治療を考えることを大切にしています。

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