はじめに
従来、日本では男性に接種可能なHPVワクチンは4価ワクチン「ガーダシル」のみで、9価ワクチンである「シルガード9」は女性に限られていました。ヒトパピローマウイルス(HPV)は性交経験のある男性のうち91.3%が生涯に一度は感染するという報告もあります。今回子宮頸がんワクチンとしてお馴染みのシルガード9がついに男性にも適応となりました。(MSDリリース)
男性もHPVワクチンを打った方がいいの?
HPVワクチンは「子宮頸がん予防ワクチン」として広く知られていますが、実際には男女を問わず感染し得るヒトパピローマウイルス(HPV)に対する予防接種です。HPVは性行為を介して男女ともに感染し、女性だけでなく男性にも健康被害を及ぼします。 男性では肛門がんや陰茎がん、咽頭がん、そして尖圭コンジローマの原因となることが知られています。男性が接種することで、自身の病気予防だけでなく、パートナーへの感染リスクを下げる効果も期待されます。世界的にはすでに80以上の国・地域で男女への定期接種が導入されており、日本でも今後の公費助成や制度整備が注目されています。
つまり、HPVワクチンは「女性の子宮頸がん予防」だけでなく、「男女双方の健康を守るワクチン」と位置づけられているのです。
効能効果および接種対象
1. 男性への適応拡大および効能・効果の追加
「シルガード9」は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の9型(6、11、16、18、31、33、45、52、58型)に対応した9価HPVワクチンです。今回の承認により、これらの型による肛門がん(扁平上皮がん)およびその前駆病変(肛門上皮内腫瘍 AIN 1~3)の予防、および男性における尖圭コンジローマの予防が新たに効能・効果として追加されました。
2. 接種対象の拡大
本承認により、9歳以上の男性も「シルガード®9」の接種対象となりました。接種スケジュールは、以下の通りです。(女性と同様)
・9歳以上15歳未満:2回接種(初回+5~12か月後)
・15歳以上:3回接種(0、2、6か月)
まとめ・接種をご検討中の方へ
☑9歳以上の男性は、より広範なHPV型をカバーする「シルガード®9」の接種が可能になりました。
☑男性が接種を受けることで、自身の健康のみならず、パートナーへの感染リスクの軽減にもつながります。
☑接種スケジュールは年齢に応じて異なりますので、かかりつけ医やワクチン取り扱い機関にご相談ください。
☑現段階では任意接種(自費)であり、公費助成や定期接種化に関しては今後の厚生労働省での議論および制度整備が期待されます。
大阪市平野区のやまおか内科クリニックでもシルガード9の接種を行っておりますのでお気軽にお問い合わせください。
費用:29,700円(自費・1回あたり)