2023年4月1日から子宮頸がんワクチン(シルガード9)が定期接種の対象になります。
子宮頸がんとHPVワクチン、シルガード9について解説します。
目次
子宮頸がんとHPV感染
子宮頸がんは女性の生殖器である子宮頸部に発生する「がん」です。
20歳~30歳代の比較的若年世代での罹患率が高いのが特徴で、出産年齢と重なっているため子宮頸がんは「マザーキラー」と呼ばれています。
子宮頸がんを発病した場合の治療法は、がんの「進行度」に応じて
- 子宮頸部を一部切除する「円錐切除術」
- 子宮全体を切除する「広汎子宮全摘術」
- 抗がん剤治療
等があげられます。
「円錐切除術」の場合はその後の妊娠が可能です。
子宮摘出や抗がん剤治療が必要な場合は妊娠が出来なくなる上、身体への負担が非常に大きい治療となります。
そんな「子宮頸がん」の原因となるのが、HPV(ヒトパピローマウイルス)感染です。
HPVはありふれたウイルスであり、異性との性経験のある女性の約8割がHPVに感染すると推計されています。
HPVには様々な200種類以上の「遺伝子型」があり、その中で発癌性が高い遺伝子型はHPV16/18型です。
HPVに感染しても必ずしも発癌するわけではなく、多くの方は自然に体内から排除されます。ウイルスが排除されなかった場合には、数年から数十年の期間で「がん」を発症します。
HPV感染を防ぐことで、子宮頸がんの発症を減らすことが可能です。
子宮頸がんは対策が可能な「がん」と言えます。
HPVワクチンについて
現時点でHPV感染を防ぐ方法は、HPVワクチンを接種することです。
HPVは性交渉により感染するため、性経験を持つ前にワクチンを接種することが重要になります。
HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)には対応しているHPVの「型」の種類に応じて
- サーバリックス2価(HPV16/18)
- ガーダシル4価(HPV6/11/16/18)
- シルガード9価(HPV6/11/16/18/31/33/45/52/58)
の3種類があります。
サーバリックス・ガーダシルは子宮頸がんの原因となるHPV遺伝子型のおよそ7割、シルガード9価では8~9割を標的としています。
(45回厚生科学審議会予防接種2023・ワクチン分科会資料より引用)
公費で受けられる定期接種
2022年度は、12歳になる年度から16歳になる年度(小学校6年~高校1年生)の女性は、公費(無料)でサーバリックス2価、ガーダシル4価の接種が可能でした。
2023年4月からは「シルガード9」の定期接種が可能になります。
シルガード9の接種方法
✅ 2回接種法(15歳未満)と3回接種法の2種類がある。
✅ 筋肉注射で接種する
(大阪市HPから引用)
シルガード9の接種対象・期限
✅ 小学校6年生の学年から高校1年生相当の女子
✅ 15歳になるまでに1回目の接種を行えば2回接種が可能
✅ 接種期限:高校1年相当の3月31日まで
キャッチアップ制度について
2023年度では1997年4月2日~2007年4月1日生まれの女性(2023年度に17歳~26歳になる女性)も公費での接種が可能です。
サーバリックス・ガーダシルとの交互接種について
✅ 同じ種類のHPVワクチンで摂取を完了する事が原則
✅ 2価、4価ワクチン定期接種の一部を終了した者が残りの接種を行う場合、医師と被接種者がよく相談した上であれば9価HPVワクチンを選択しても差し支えない。
キャッチアップ接種での取り扱い
✅ 同じ種類のHPVワクチンで摂取を完了する事を原則とする。
✅ 2価、4価ワクチン定期接種の一部を終了した者が残りの接種を行う場合、医師と被接種者がよく相談した上であれば9価HPVワクチンを選択しても差し支えない。
やまおか内科クリニックでは子宮頸がんワクチンの接種が可能です。
2023年度のシルガード9に関しては自治体の方針が確定次第対応予定です。
随時ホームページで告知しますのでご確認お願い致します。
接種をご希望の方は「予約制」となっておりますのでお電話での予約をお願いいたします。