「有名人の胃癌のニュースを見たけど、胃カメラは受けた方がいいんだろうか?」
「症状がなかったら胃カメラは受けなくていい?」
「胃カメラは何歳から受けたらいいの?」
「以前に胃カメラをしたけど、もう受けなくていいの?」
このような疑問を持たれている方は少なくないかと思います。
今回の記事では胃カメラを受けるべきタイミングとその後のフォローについて解説いたします。
目次
そもそも胃カメラで発見できる病気は?
胃カメラで見つかる病気は以下の通りです。
☑ 胃癌・食道癌・十二指腸癌
☑ 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
☑ 慢性胃炎・ピロリ感染胃炎
☑ 胃リンパ腫 など
特に胃癌・食道癌・十二指腸といった病気は命に関わる病気であり早期発見が大切です。
また胃カメラは、様々な胃の病気の原因となる「ピロリ菌感染」を見つけるのに欠かせません。
胃カメラは何歳からうけるべきなのか。
ではどのタイミングで胃カメラを受けるべきなのでしょうか。
症状があればすぐに胃カメラをうけましょう。
症状があれば何か病気が隠れている可能性が高くなります。
以下のチェックリストが一つでも当てはまる方は早めに胃カメラを受けましょう。
☑ みぞおちが痛む
☑ 食欲が落ちた/体重が減ってきた
☑ 黒い便が出る
☑ 食後にお腹が張る、ゲップが続く
☑ 食べてもすぐに戻してしまう
症状がない場合は?
40歳を過ぎたら胃カメラをおすすめしています。
以下のグラフをご覧ください。
このグラフは2019年に新しく胃がんと診断された人数の年齢別の推移です。
(※国立研究開発法人国立がん研究センター(全国がん登録罹患データ)より抜粋)
胃がんの罹患者数が40歳以降からゆるやかに増加し、50歳を超えると急激に増加しているのが分かります。胃がんはピロリ菌と密接に関係しており、特に1970年代以前に生まれた方ではピロリ菌感染率が高いと言われています。また喫煙・飲酒をしている方は食道癌のリスクも高くなるため注意が必要です。40歳を超えたら胃カメラを検討しましょう。
ただし、症状がない場合は保険で胃カメラを受けることはできませんので、各自治体のがん検診や人間ドックをご活用下さい。
大阪市の場合は50歳以上の方は胃がん検診を受けて頂けます。(胃カメラ:自己負担1500円・2年に1回、バリウム検査:自己負担500円、1年に1回)※詳しくは市のホームページをご確認ください。
胃カメラとバリウム検査の違いは?
食道・胃・十二指腸を検査する方法は胃カメラの他に「バリウム検査」があります。
白い造影剤を飲んでから体位を変えながらレントゲンを撮影する検査ですね。
(バリウム検査イメージ)
鼻や口から内視鏡を入れる「胃カメラ」と比べると楽に検査ができる印象を持たれるかもしれませんが、バリウム検査で異常が見つかった場合は結局胃カメラを受ける必要があります。また小さな病変や胃炎の変化をバリウム検査で見つけるのは困難です。食道・胃・十二指腸の検査を検討されている方は是非胃カメラを受けましょう。
胃カメラはどれくらいのペースで受けるべき?
胃カメラの検査のペースに関しては以下を参考にしてください。
無症状の場合:2~3年に一度
ピロリ菌を保有している:1~2年に一度
ピロリ菌の除菌をした:1~2年に一度
胃がんの治療を受けた:1年毎
年齢や胃炎の程度、胃癌の状態によって個別の判断が必要ですが、概ねこれくらいの間隔で検査を受けましょう。
まとめ
☑ 症状がある人は早めに胃カメラを受けて下さい。
☑ 症状が無くても40歳をすぎたら胃がん検診や人間ドックを検討しましょう。
☑ ピロリ菌や胃癌の治療を受けた方は定期的な検査が大切です。
気になることがあれば担当の医師にご相談下さい。
参考文献)
日本ヘリコバクター学会 H. pylori感染の診断と治療のガイドライン2016改訂版Q&A
国立研究開発法人国立がん研究センター(全国がん登録罹患データ)
大阪市 胃がん検診
この記事を書いた人
やまおか内科クリニック院長 山岡 祥
日本内科学会 認定内科医
日本消化器病学会 専門医
日本消化器内視鏡学会 専門医