「糖尿病」が「ダイアベティス」に
糖尿病学会と糖尿病協会は、糖尿病の名称を英語表記に合わせて「ダイアベティス」に変更する案を公表しました。そもそも「糖尿病」の名前の由来は、高血糖により「尿」に「糖」が出てくるところから名づけられました。必ずしも尿に糖は出てこないことや、病名に「尿」が入っていることが相応しくない、「糖尿病」自体にマイナスのイメージがついている、といったことが名称変更の理由です。
病気に対する悪いイメージ(偏見)は「スティグマ」と呼ばれ、糖尿病に限らず問題視されています。糖尿病は遺伝・体質的な要因が大きいのですが、不摂生な生活が原因と思っている方も少なくなく、社会的な制約や差別的な待遇を受けかねません。名称変更はそんなスティグマ・思い込みや偏見への対策としての側面もあるでしょう。
脂肪肝も名称変更?
欧州肝臓学会国際肝臓学会議2023で脂肪肝の名称変更が発表されました。
一言で脂肪肝といっても原因は様々です。有名な原因の一つに飲酒がありますが、飲酒が原因ではない脂肪肝をNAFLD(non-alcoholic fatty liver disease、ナッフルディ)、さらに肝臓の数値が上昇している場合NASH(non-alcoholic steatohepatitis、ナッシュ)と呼んでいました。
しかしalcohoic(アルコール依存・飲んだくれ)やfatty(脂肪の多い・太った)という単語がマイナスなイメージを持つ不適切な表現であるとして国際学会が名称変更を決定しました。変更後は、肝臓に脂肪が蓄積する脂肪性肝疾患をSLD(steatotic liver disease)、NAFLD、NASHはメタボリックシンドロームの基準の一部を満たす場合にMASLD*(マッスルディ)、MASH**(マッシュ?)、飲酒が原因の場合はALD(alcohol-related liver disease)と呼ばれます。
*metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease
**metabolic dysfunction-associated steatohepatitis
日本語名称も今後変更予定とのことです。
病気の名前が変更されたことは初めてではありません。
精神分裂症→統合失調症
痴呆症→認知症 などです。
名称変更はスティグマ解消の本質ではないかと思いますが、病名が変更される過程を通じて、病気のマイナスイメージや差別的なイメージがなくなることが期待されます。