健康診断や人間ドックで「脂肪肝があります」「ALTが高いですね」と言われたことはありませんか?
脂肪肝は非常に身近な病気ですが、近年は「脂肪がたまっているか」だけではなく、
肝臓の線維化が進んでいないか
を確認することが重要と考えられています。
やまおか内科クリニックでは、血液検査、FIB-4 Index、腹部エコーなどを組み合わせて脂肪肝・MASLDの状態を評価し、線維化リスクに応じた経過観察や専門医療機関との連携を行っています。
このような方は一度ご相談ください
- 健康診断で「脂肪肝」を指摘された
- AST・ALT・γ-GTPの異常が続いている
- 糖尿病・肥満・高血圧・脂質異常症がある
- 脂肪肝を以前から指摘されているが詳しい検査を受けていない
- FIB-4 Indexや肝線維化について詳しく知りたい
- 腹部エコーで肝臓の状態を確認したい

当院で対応できること
知りたい内容から読む
1. MASLD・MASHとは?
◆ MASLD(マスルド)とは?
MASLDは、Metabolic dysfunction-Associated Steatotic Liver Diseaseの略で、日本語では「代謝機能障害関連脂肪性肝疾患」と呼ばれます。
肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの代謝異常と関連して肝臓に脂肪が蓄積する病気です。
以前はNAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)と呼ばれていましたが、病気の背景にある代謝異常をより重視するため、現在はMASLDという名称が使用されています。
MASLDに注意したい方
- 肥満・内臓脂肪が多い
- 2型糖尿病がある
- 高血圧がある
- 中性脂肪が高い
- HDLコレステロールが低い
◆ MASH(マッシュ)とは?
MASLDの患者さん全員が重い肝臓病になるわけではありません。
しかし一部では、脂肪の蓄積に加えて肝臓に炎症や肝細胞障害が起こります。
この状態をMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)と呼び、以前の「NASH」に相当します。
MASHの状態が長期間続くと、肝臓に線維が蓄積する「肝線維化」が進行する場合があります。
MASLD
脂肪蓄積
MASH
炎症・肝細胞障害
肝線維化
線維が蓄積
肝硬変
高度な線維化
肝細胞がん
発症リスク上昇

2. 脂肪肝で重要なのは「肝線維化」です
現在のMASLD診療では、脂肪肝の有無だけではなく、肝臓の線維化がどの程度進んでいるかを評価することが重要です。
肝線維化は一般的にF0(線維化なし)からF4(肝硬変)まで分類されます。
線維化が進むほど、肝硬変や肝細胞がんなどの肝関連イベントのリスクが高くなります。
| 線維化ステージ | おおまかな状態 | 考え方 |
|---|---|---|
| F0 | 線維化なし | 生活習慣改善と代謝疾患の管理 |
| F1 | 軽度 | リスクに応じて定期評価 |
| F2 | 中等度 | 進行リスクを考慮した評価が重要 |
| F3 | 高度 | 専門的評価を検討 |
| F4 | 肝硬変 | 肝細胞がんなどの合併症にも注意 |
◆ ALTが正常でも安心とは限りません
ALTやASTは重要な肝機能検査ですが、その数値だけで肝線維化の程度を判断することはできません。
ALTが正常範囲であっても肝線維化が進行している場合があります。
特に糖尿病や肥満を合併する方では、AST・ALTだけを見るのではなく、血小板数やFIB-4 Index、腹部エコーなどを組み合わせて評価することが大切です。
3. 脂肪肝の検査|FIB-4 Index・腹部エコー
MASLDでは、「脂肪肝があるか」だけではなく、肝線維化が進んでいる可能性がないかを評価します。
◆ AST・ALTだけでなく「血小板」も重要です
脂肪肝の評価では、AST・ALT・γ-GTPだけでなく、血小板、アルブミン、総ビリルビン、HbA1c、血糖、中性脂肪、LDLコレステロールなども確認します。
肝線維化が進行すると、門脈圧亢進や脾腫などに伴って血小板数が低下することがあります。
「ALTが正常になったから大丈夫」と考えるのではなく、血小板を含めて総合的に評価することが重要です。
◆ FIB-4 Indexとは?
FIB-4 Index(フィブフォーインデックス)は、年齢・AST・ALT・血小板数の4項目から計算し、肝線維化の可能性を推定する指標です。
年齢 × AST ÷[血小板数 × √ALT]
通常の採血結果から計算できるため、MASLD患者さんの中から進行した肝線維化の可能性がある方を見つける「第一段階の検査」として広く利用されています。
| FIB-4 Index | 線維化リスクの目安 | 考え方 |
|---|---|---|
| 1.3未満 | 低リスク | 進行した線維化の可能性は比較的低い |
| 1.3~2.67 | 中間リスク | 他の所見と組み合わせて評価 |
| 2.67超 | 高リスク | 進行した線維化を疑い精密評価を検討 |
FIB-4が高い=肝硬変、という意味ではありません。
FIB-4は年齢などの影響も受けるため、数値だけで診断せず、血液検査・腹部エコー・経過などを合わせて判断します。
◆ 腹部エコーで肝臓の状態を確認します
腹部エコー(腹部超音波検査)は、脂肪肝を評価する基本的な画像検査です。
腹部エコーで確認できること
- 肝臓への脂肪蓄積
- 肝臓の形や表面の変化
- 肝臓の萎縮・腫大
- 脾臓の腫大
- 肝腫瘤の有無
- 胆嚢・胆管などの異常
腹部エコーには放射線被ばくがなく、身体への負担が少ないというメリットがあります。
一方、一般的な腹部エコーだけで線維化ステージF0~F4を正確に判定できるわけではありません。
そのため当院では、FIB-4 Indexと腹部エコーを組み合わせた評価を重視しています。
進行した線維化が疑われる場合には、専門医療機関で肝硬度測定やCT・MRIなど、より詳しい検査を検討します。
4. 脂肪肝の検査間隔と専門医療機関への紹介
脂肪肝の検査頻度は、年齢、糖尿病や肥満の有無、肝機能、血小板、FIB-4、腹部エコー所見などによって異なります。
| 状態 | 血液検査 | FIB-4 | 腹部エコー |
|---|---|---|---|
| 線維化リスクが低い場合 | 6~12か月程度 | 2~3年程度を目安 | 1年程度を一つの目安 |
| 糖尿病・肥満などがある場合 | 3~6か月程度 | 1~2年程度を目安 | 6~12か月程度を一つの目安 |
※上記はあくまで目安です。すべてのMASLD患者さんに一律の検査間隔が定められているわけではなく、患者さんごとに判断します。
◆ どんな場合に総合病院への紹介が必要ですか?
- FIB-4が高値
- 血小板数が低下している
- AST・ALT高値が長期間続いている
- 腹部エコーで肝硬変を疑う
- 原因がはっきりしない肝機能障害が続く
- 肝腫瘤など精密検査が必要な所見がある
このような場合には、肝硬度測定、CT、MRIなどを含めた精密検査が可能な専門医療機関へのご紹介を検討します。
5. MASLD・MASHと肝臓がんのリスク
MASLDのすべての患者さんが肝臓がんになるわけではありません。
発がんリスクを大きく左右するのが肝線維化の進行度です。
線維化が進行するほど肝細胞がんを含む肝関連イベントのリスクは上昇し、特にF4(肝硬変)では注意が必要です。
約0.5~2.6%
MASH肝硬変における肝細胞がん
11.3%
日本のMASH肝硬変患者での報告
一方、肝硬変のないMASLD全体では発がん率はかなり低くなります。
「脂肪肝がある=肝臓がんになりやすい」ではありません。
大切なのは、肝臓がんのリスクが高くなる進行した肝線維化・肝硬変を見つけることです。
◆ 肝硬変では定期的に肝臓がんをチェックします
肝硬変まで進行している場合には、肝細胞がんの早期発見を目的とした定期的な検査が重要です。
一般的には6か月ごとの腹部エコーを中心とした肝がんサーベイランスが推奨されています。
患者さんの状態に応じて、血液検査やAFPなどの腫瘍マーカーも組み合わせます。
腹部エコーなどで肝臓がんが疑われる病変を認めた場合には、造影CT・MRIなどによる精密検査や治療が可能な専門医療機関へご紹介します。
6. MASLD・MASHの治療
MASLD・MASH治療の基本は、食事・運動による生活習慣の改善と適正体重の維持です。
肥満を伴う場合、体重を減らすことで肝臓への脂肪蓄積だけでなく、肝臓の炎症や線維化の改善も期待できます。
肝脂肪の減少が期待
MASH・線維化改善が期待
また、MASLDは糖尿病、肥満症、高血圧、脂質異常症と密接に関連しています。
そのため「肝臓だけを治療する」のではなく、これらの生活習慣病を一緒に管理することが重要です。
◆ ウゴービ®(セマグルチド)―2026年にMASHへ適応追加
GLP-1受容体作動薬であるセマグルチドは、血糖を改善するとともに食欲を抑え、体重を減少させる作用があります。
MASH患者さんを対象とした第3相ESSENCE試験では、セマグルチド2.4mg週1回投与により、プラセボと比較してMASHの改善および肝線維化の改善が有意に多く認められました。
2026年6月、日本でもウゴービ®に
「肝硬変を伴わない代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)。ただし、中等度又は高度の線維化を有する場合に限る」
という効能・効果が追加されました。
つまり、「脂肪肝があるからウゴービ®を使用する」という治療ではありません。
MASHに対して使用する場合には、肝硬変を伴わず、中等度~高度の線維化を有することなどを確認し、国の最適使用推進ガイドラインに沿って適切に治療する必要があります。
◆ GIP/GLP-1受容体作動薬(チルゼパチド)
チルゼパチド(マンジャロ®など)はGIPとGLP-1の両方に作用し、血糖改善と大きな体重減少が期待できる薬です。
MASH患者さんを対象としたSYNERGY-NASH試験では、肝線維化を悪化させずにMASHが改善した患者さんの割合が有意に増加しました。
ただし、現時点ではMASLD・MASHそのものを目的として使用する薬ではありません。
2型糖尿病や肥満症など、それぞれ承認された適応に沿って使用します。
◆ パルモディア®(ペマフィブラート)
パルモディア®は主に中性脂肪を下げる薬です。
MASLDを対象とした臨床試験では、肝脂肪量を有意に減少させるという主要評価項目は達成しませんでしたが、ALTなどの肝機能検査値や肝硬度の改善が報告されています。
ただし、脂肪肝そのものを治療する目的で使用する薬ではありません。
高中性脂肪血症など、本来の適応に沿って使用します。
◆ スタチン
MASLD患者さんでは肝疾患だけでなく、心筋梗塞や脳梗塞などの心血管疾患にも注意が必要です。
LDLコレステロールが高い場合には必要に応じてスタチンを使用します。
スタチンは脂肪肝そのものを治療する薬ではありませんが、MASLDがあるという理由だけで避ける必要はなく、必要な患者さんでは心血管疾患予防のため適切に使用することが重要です。
◆ ウルソ®
ウルソ(ウルソデオキシコール酸)の使用によりAST・ALTなどの数値が改善する場合があります。
しかし、MASHに対して肝臓の炎症や線維化を改善する明確な効果は証明されていません。
「脂肪肝だからとりあえずウルソ」という治療ではなく、肥満、糖尿病、脂質異常症など原因となる代謝異常を改善することが重要です。
◆ ビタミンE
代表的なPIVENS試験では、糖尿病のないNASH患者さんにビタミンEを投与することで肝組織所見の改善が認められました。
一方、明確な肝線維化改善効果は確立しておらず、長期間の高用量投与には注意も必要です。
一般的なMASLD患者さん全員に使用する標準治療ではなく、対象となる患者さんを選んで検討します。
7. 当院での脂肪肝・MASLDの診療
健康診断で脂肪肝を指摘された方全員に、高度な検査が必要なわけではありません。
まずは進行した肝線維化が隠れていないかを確認し、そのリスクに応じて検査・治療・経過観察を行うことが重要です。
血液検査肝機能・血小板・糖尿病・脂質などを確認します。
FIB-4 Index通常の採血データから肝線維化リスクを評価します。
腹部エコー脂肪肝、肝臓の形態、脾腫、肝腫瘤などを確認します。
リスクに応じた定期評価線維化リスクや糖尿病・肥満などに応じて検査間隔を決定します。
生活習慣病も含めて治療体重、糖尿病、高血圧、中性脂肪・LDLコレステロールなどを総合的に管理します。
必要に応じて専門医療機関へ紹介高度線維化、肝硬変、肝腫瘤などを疑う場合には精密検査が可能な医療機関へご紹介します。
脂肪肝は「肝臓だけ」の問題ではありません
糖尿病、肥満、血圧、脂質、体重を含めて全身を管理することが、将来の肝硬変・肝臓がんだけでなく、心筋梗塞や脳梗塞などの予防にもつながります。
8. MASLD・MASH・脂肪肝についてよくある質問
Q.
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CONSULTATION
脂肪肝・肝機能異常についてご相談ください
健康診断で脂肪肝やAST・ALT高値を指摘された方、肝線維化が心配な方はご相談ください。

やまおか内科クリニック
院長 山岡 祥
- 大阪大学医学部医学科 卒業
- 日本内科学会認定 総合内科専門医
- 日本消化器病学会認定 消化器病専門医
- 日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医
- 日本糖尿病協会 登録医
肝臓疾患を含む消化器疾患と、糖尿病・肥満・脂質異常症などの生活習慣病を総合的に診療しています。
参考文献・ガイドライン
- 日本消化器病学会・日本肝臓学会.
MASLD/MASH診療ガイドライン2026(改訂第3版). - Rinella ME, et al.
A multi-society Delphi consensus statement on new fatty liver disease nomenclature.
Hepatology. 2023. - Angulo P, et al.
Liver Fibrosis, but No Other Histologic Features, Is Associated With Long-term Outcomes of Patients With Nonalcoholic Fatty Liver Disease.
Gastroenterology. 2015. - Hagström H, et al.
Fibrosis stage but not NASH predicts mortality and time to development of severe liver disease in biopsy-proven NAFLD.
J Hepatol. 2017. - Sterling RK, et al.
Development of a simple noninvasive index to predict significant fibrosis.
Hepatology. 2006. - European Association for the Study of the Liver (EASL) / EASD / EASO.
Clinical Practice Guidelines on the management of metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease. - Sanyal AJ, et al.
Phase 3 Trial of Semaglutide in Metabolic Dysfunction-Associated Steatohepatitis.
New England Journal of Medicine. - 厚生労働省・独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA).
セマグルチド(遺伝子組換え)最適使用推進ガイドライン:代謝機能障害関連脂肪肝炎
.2026年6月19日. - ノボ ノルディスク ファーマ株式会社.
「ウゴービ®皮下注」、代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)に対する承認を取得
.2026年6月19日. - Loomba R, et al.
Tirzepatide for Metabolic Dysfunction-Associated Steatohepatitis with Liver Fibrosis.
New England Journal of Medicine. 2024. - Sanyal AJ, et al.
Pioglitazone, Vitamin E, or Placebo for Nonalcoholic Steatohepatitis.
New England Journal of Medicine. 2010.
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